Excelダッシュボードの作り方:指標・グラフ・スライサーで1枚にまとめる

著者:Mohamed 公開日:2026年11月2日 約10分で読めます

Excelのダッシュボード:作り方を順番に解説

Excelのダッシュボードは、よく確認する数値を1枚のシートにまとめたものです。上部に主要な指標(KPI)を並べ、その下に2~3個のグラフを置き、スライサーと呼ばれる絞り込みボタンで支店や商品をワンクリックで切り替えます。構成は3層です。テーブル形式にした「データ」シート、数式やピボットテーブルを置く「計算用」シート、そして結果だけを表示する「表示用」シートです。

ここでは四半期の売上を例にします。初めて作る場合、1時間ほどを見込んでください。

1. 何を表示するかを決める

Excelを開く前に、このページで答えたい質問を書き出します。今回は次の3つです。

  • 四半期の売上はいくらか。何件の取引で、1件あたりの平均はいくらか。
  • 売上は月ごとに伸びているか。
  • どの担当者の売上が大きく、それはどの支店か。

質問ごとにページの要素が決まります。1つ目は数値の指標、2つ目は月別の縦棒グラフ、3つ目は担当者別の横棒グラフです。どの質問にも答えない要素は、ダッシュボードに載せません。

2. データをテーブルにする

売上はデータシートに、1件1行で入力します(金額の単位は円)。空白行や小計の行は入れません。

ABCDEF
1日付担当者支店商品数量金額
22026/01/05佐藤東京モニター472,000
32026/01/09鈴木大阪プリンター250,000
42026/01/14高橋東京キーボード1560,000
52026/01/21佐藤大阪プリンター375,000
62026/01/28鈴木東京モニター590,000
72026/02/03高橋大阪モニター236,000
82026/02/10佐藤東京キーボード2080,000
92026/02/17鈴木大阪キーボード1040,000
102026/02/24高橋東京プリンター4100,000
112026/03/03佐藤大阪モニター6108,000
122026/03/10鈴木東京プリンター125,000
132026/03/17高橋大阪キーボード1248,000
142026/03/24佐藤東京プリンター250,000
152026/03/31鈴木大阪モニター354,000

表内をクリックし、[挿入]>[テーブル]を選びます。[先頭行をテーブルの見出しとして使用する]にチェックが入っていることを確認して[OK]をクリックします。[テーブルデザイン]タブの[テーブル名]で、テーブル1を売上に変更します。

この手順が以降のすべての土台になります。売上[金額]のように参照する数式も、テーブル「売上」から作ったピボットテーブルも、テーブルの下に追加した行を自動で含めます。範囲を直さなくてもダッシュボードが最新の状態になります。

3. 指標(KPI)を計算する

ダッシュボードという名前のシートを追加し、上部を指標用に空けておきます。数式ではテーブル「売上」の構造化参照を使います。角かっこで囲んだ列名が範囲F2:F15の代わりになり、行が増えれば一緒に広がります。

ABBの数式
3四半期の売上888,000円=SUM(売上[金額])
4取引件数14=ROWS(売上)
51件あたりの平均売上63,428.57円=B3/B4
6販売数量89=SUM(売上[数量])
7東京支店の売上477,000円=SUMIFS(売上[金額],売上[支店],"東京")
83月の売上285,000円=SUMIFS(売上[金額],売上[日付],">="&DATE(2026,3,1),売上[日付],"<"&DATE(2026,4,1))
92月の売上256,000円=SUMIFS(売上[金額],売上[日付],">="&DATE(2026,2,1),売上[日付],"<"&DATE(2026,3,1))
10前月比(3月/2月)11.33%=B8/B9-1

1か月分を集計するときは、SUMIFSで同じ日付列に2つの条件を付けます。「その月の1日以上」と「翌月の1日より前」です。前月比は (285,000 − 256,000) ÷ 256,000 = 11.33% です。B10にはパーセントの表示形式を、B3・B5・B7・B8・B9には通貨の表示形式を設定します。

選んだ担当者に合わせて変わる指標

A12に「担当者」と入力し、B12に佐藤・鈴木・高橋を選べるドロップダウンリストを作ります。続けて次のように入力します。

ABBの数式
12担当者佐藤(ドロップダウンリスト)
13担当者の売上385,000円=SUMIFS(売上[金額],売上[担当者],B12)
14取引件数5=COUNTIFS(売上[担当者],B12)
15売上全体に占める割合43.36%=B13/B3

リストで鈴木を選ぶと、B13は259,000円、B14は5のまま、B15は29.17%に変わります。条件を追加する(その担当者の東京支店分だけ)には、範囲と条件の組をもう1つ加えます。=SUMIFS(売上[金額],売上[担当者],B12,売上[支店],"東京")は、佐藤さんの場合202,000を返します。選んだ担当者の四半期目標のように、別の小さな表にある固定の値を並べて表示したい場合は、VLOOKUP関数で取り出します。

4. ピボットテーブルを用意する

ダッシュボードのグラフは、別シートに置いたピボットテーブルをもとに作ります。操作の詳細はピボットテーブルの作り方で説明しています。ここで必要なのは次の2つです。

ピボットテーブル1:月別の売上。テーブル「売上」をクリックし、[挿入]>[ピボットテーブル]、[新規ワークシート]、[OK]の順に操作します。日付を[行]、金額を[値]に置きます。日付が1日ずつ表示される場合は、日付を右クリックして[グループ化]で[月]を選びます。シート名は「計算_月別」にします。

AB
3行ラベル合計 / 金額
41月347000
52月256000
63月285000
7総計888000

ピボットテーブル2:担当者別の売上。同じ手順で新しいシート「計算_担当者別」に作り、担当者を[行]、金額を[値]に置きます。

AB
3行ラベル合計 / 金額
4佐藤385000
5鈴木259000
6高橋244000
7総計888000

2つのピボットテーブルは同じ元データ(テーブル「売上」)を使っています。だからこそ、1つのスライサーで両方を絞り込めます。

5. グラフを追加する

  1. 「計算_月別」シートのピボットテーブルをクリックし、[ピボットテーブル分析]>[ピボットグラフ]を選びます。
  2. [縦棒]の最初の種類(集合縦棒)を選び、[OK]をクリックします。
  3. グラフを選択して切り取り(Ctrl + X)、「ダッシュボード」シートの指標の下に貼り付けます(Ctrl + V)。
  4. 「計算_担当者別」のピボットテーブルでも同じ操作をし、種類は[横棒]を選びます。名前は横向きのほうが読みやすいためです。

各グラフでは、凡例を削除し(系列が1つなら不要です)、何を表すグラフかがわかるタイトル(「月別売上(円)」など)を付け、灰色のフィールドボタンを非表示にします(ボタンの1つを右クリックし、グラフ上のフィールドボタンをすべて非表示にするコマンドを選びます)。グラフの種類、軸、データラベルについてはExcelでのグラフの作り方を参照してください。

6. スライサーで絞り込めるようにする

  1. どちらかのピボットテーブルをクリックし、[ピボットテーブル分析]>[スライサーの挿入]を選びます。
  2. 支店と商品にチェックを入れて[OK]をクリックします。ボタンの並んだパネルが2つ表示されます。
  3. パネルを切り取り、「ダッシュボード」シートのグラフの左側に貼り付けます。
  4. 支店のスライサーを右クリックして[レポートの接続]を選び、2つのピボットテーブルにチェックを入れて[OK]をクリックします。商品のスライサーも同様に設定します。

支店のスライサーで東京をクリックすると、2つのピボットテーブルと2つのグラフがすべて東京だけの数値に変わります。

AB
3行ラベル合計 / 金額
41月222000
52月180000
63月75000
7総計477000
AB
3行ラベル合計 / 金額
4佐藤202000
5鈴木115000
6高橋160000
7総計477000

複数の項目を選ぶときはCtrlキーを押しながらクリックします。スライサー右上の小さなボタンで絞り込みを解除できます。期間で絞り込みたいときは、[ピボットテーブル分析]>[タイムラインの挿入]で日付フィールドのタイムラインを追加し、同じ方法でピボットテーブルに接続します。

7. レイアウトを整える

  • 目盛線:「ダッシュボード」シートで[表示]>[目盛線]のチェックを外すと、レポートのように見やすくなります。
  • 配置:指標は上部に横一列、スライサーは左、グラフは右に置きます。Altキーを押しながらオブジェクトを動かすと、セルの枠線にぴったり合わせられます。
  • 色:データ用に1色、目立たせたいもの用にもう1色に絞ります。前月比を自動で緑や赤にしたり、表にデータバーを付けたりする方法は条件付き書式の記事で説明しています。
  • 計算用シート:「計算_月別」と「計算_担当者別」はシート見出しを右クリックして[非表示]にします。グラフとスライサーはそのまま動きます。
  • 印刷:[ファイル]>[印刷]で印刷の向きを横方向にし、シートを1ページに収める拡大縮小の設定を選びます。

8. 毎月の更新

新しい売上は、テーブル「売上」の最終行のすぐ下に入力または貼り付けます。テーブルは自動で広がり、指標の数式はすぐに再計算されます。ピボットテーブルとグラフは更新が必要です。[データ]>[すべて更新]またはCtrl + Alt + F5で更新します。更新を忘れないように、各ピボットテーブルを右クリックして[ピボットテーブル オプション]を開き、[データ]タブで[ファイルを開くときにデータを更新する]にチェックを入れておくと便利です。

月の指標(B8とB9)は日付を数式に直接書いています。数式を書き換えずに月を切り替えるには、対象月の1日をセルに入力し(例:F3に2026/3/1)、DATE(2026,3,1)をF3に、DATE(2026,4,1)をEDATE(F3,1)に置き換えます。

よくあるトラブル

スライサーが1つのグラフしか絞り込まない

2つ目のピボットテーブルが[レポートの接続]でチェックされていません。一覧に表示されない場合は、別の元データ(テーブル「売上」ではなく範囲A1:F15、または別のブック)から作られています。テーブル「売上」から作り直してください。

更新するたびにレイアウトが崩れる

ピボットテーブルは既定で、更新時に列幅を自動調整します。そのため隣に置いたオブジェクトがずれることがあります。[ピボットテーブル オプション]の[レイアウトと書式]タブで、[更新時に列幅を自動調整する]のチェックを外します。

指標が0になる

条件に一致するセルがありません。入力ミス(「東京」の後ろにスペースが入っているなど)、文字列として入力された日付、文字列として保存された金額が主な原因です。原因と対処法はCOUNTIFS関数と同じなので、COUNTIFS関数がうまく動かない原因を参照してください。

Mohamed · ライター, Excel Zone

Mohamedはデータの検索と分析のガイドを担当しています。VLOOKUP、COUNTIFS、ピボットテーブル、ダッシュボードのほか、初心者向けの入門コースも書いています。