Excel初心者の勉強法:何から覚えるかを7ステップで解説

Excelをゼロから覚えるなら、次の順番で進めます。画面の見方とデータ入力、簡単な数式とセル参照、並べ替えとフィルター、条件付きの関数(IF、COUNTIF、SUMIF)、VLOOKUPによる検索、データの整理、最後にグラフとピボットテーブルです。各ステップは前のステップを土台にしています。たとえばセル参照を飛ばすと、そのあとでコピーする数式がどれも理解しにくくなります。
この学習プランでは、最初から最後まで1つの練習用シートを使います。ステップ1でシートを作り、以降のステップごとに練習問題を追加していきます。必要なのはExcelだけです。デスクトップ版でも、Microsoft アカウントがあれば無料で使える Web 用 Excel でもかまいません。
どれくらいの時間をかけるか
おすすめは、1日20〜30分、1週間に1ステップのペースです。この場合、全体でおよそ7週間かかります。本や動画を見るだけでなく、実際にExcelを操作する短い時間を毎日続けるほうが、月に1回まとめて1日勉強するより身につきます。説明を見ずに練習問題をもう一度解けたら、そのステップは完了です。
ステップ1:画面の見方とデータ入力
このステップでできるようになること:
- ブック(ファイル)とワークシート(画面下のシート見出し)の違いがわかる
- セルを列と行で指定できる(
B3はB列の3行目) - リボン(ホーム、挿入、データ…)と、選択したセルの本当の中身を表示する数式バーを読める
- フィル ハンドル(選択したセルの右下にある小さな四角)で値や数式を下へコピーできる
- 「ホーム」タブで表示形式(通貨、日付)を設定できる
練習問題:空のシートに、小さな文房具店の売上表を入力します。E列の表示形式を「通貨」にします。このシートを以降のすべてのステップで使います。
| A | B | C | D | E | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 日付 | 担当者 | 店舗 | 商品 | 金額 |
| 2 | 2026/3/3 | 佐藤 | 東京 | ノート | ¥1,250 |
| 3 | 2026/3/3 | 鈴木 | 大阪 | ボールペン | ¥400 |
| 4 | 2026/3/4 | 佐藤 | 大阪 | 手帳 | ¥1,800 |
| 5 | 2026/3/5 | 高橋 | 東京 | ノート | ¥1,250 |
| 6 | 2026/3/5 | 鈴木 | 東京 | 手帳 | ¥1,800 |
| 7 | 2026/3/6 | 佐藤 | 東京 | ボールペン | ¥400 |
| 8 | 2026/3/7 | 高橋 | 大阪 | ノート | ¥1,250 |
| 9 | 2026/3/7 | 鈴木 | 大阪 | ボールペン | ¥400 |
確認のポイント:Excelが日付として認識した値は、数値と同じく右揃えになります。左に寄っている場合は文字列として保存されています。
ステップ2:簡単な数式とセル参照
数式は必ず = で始めます。セル同士を足す(=E2+E3)ことも、関数を使うこともできます。最初に覚える関数は SUM と AVERAGE の2つです。「ホーム」タブの「オート SUM」ボタンを押すと、SUM の数式を自動で入力してくれます。
次に、初心者が最もつまずきやすいポイントです。数式を下へコピーすると、参照先がずれていきます(E2 が E3、E4 と変わる)。これを相対参照といいます。参照先を固定したいときは $ を付けます。$I$1 は絶対参照です。Windows では、カーソルがある参照で F4 キーを押すと $ が付きます。
練習問題
- I3 に合計を求めます。
=SUM(E2:E9)の結果は ¥8,550 です。 - I4 に1件あたりの平均を求めます。
=AVERAGE(E2:E9)の結果は 1068.75 で、通貨の表示形式では ¥1,069 と表示されます。 - I1 に
10%(手数料率)、F1 に「手数料」と入力します。F2 に=E2*$I$1と入力し、F9 までコピーします。F2 は ¥125、F3 は ¥40 になります。
3 を $ なしの =E2*I1 でやり直してみてください。F3 以降の結果がおかしくなります(F3 は 0)。コピーした数式が I1 の手数料率ではなく、I2、I3…を参照してしまうためです。この間違いを一度自分で見ておくと、説明を何度も読むより確実に覚えられます。
ステップ3:表の整理、並べ替え、フィルター
A1:F9 を選択し、「挿入」タブ →「テーブル」をクリックします。範囲がテーブルに変わり、見出しにフィルターボタンが付きます。すぐ下の行に入力したデータも自動でテーブルに含まれます。「データ」タブの「並べ替え」と「フィルター」は、テーブルにしていない普通の範囲でも使えます。
練習問題
- 「店舗」列を「東京」で絞り込みます。残るのは 4行 です。
- フィルターを解除し、「金額」で大きい順に並べ替えます。¥1,800 の手帳2件が一番上に来ます。
このステップのトラブルの多くは、2つの習慣で防げます。見出し行は1行だけにしてセルを結合しないこと、データの途中に空白行を入れないことです。空白行があると、Excelが並べ替えやフィルターの対象として認識する範囲がそこで切れてしまいます。また、結合セルがあると並べ替えができないことがよくあります。
ステップ4:条件付きの関数(IF、COUNTIF、SUMIF)
ここからExcelで作業時間が短くなっていきます。条件に合う行を目で探すのではなく、関数で数えたり合計したりします。
IF:条件が正しければある値を、正しくなければ別の値を返します。COUNTIF:1つの条件に合うセルの数を数えます。SUMIF:1つの条件に合う行の金額を合計します。COUNTIFS:複数の条件を同時に満たすセルの数を数えます。
練習問題
- G1 に「1000円以上」と入力し(テーブルが自動で広がります)、G2 に
=IF(E2>=1000,"はい","いいえ")と入力します。Excelが自動でコピーしなかった場合は G9 までコピーします。G2 は「はい」、G3 は「いいえ」になり、全体では「はい」が5件、「いいえ」が3件です。 - 東京店の売上件数:
=COUNTIF(C2:C9,"東京")の結果は 4 です。 - 佐藤さんの売上合計:
=SUMIF(B2:B9,"佐藤",E2:E9)の結果は ¥3,450(1,250 + 1,800 + 400)です。 - 鈴木さんの大阪店での売上件数:
=COUNTIFS(B2:B9,"鈴木",C2:C9,"大阪")の結果は 2 です。
各関数をさらに詳しく知りたい場合は、COUNTIFの使い方と例、SUMIFの使い方、COUNTIFSで複数条件を指定する方法を参照してください。結果が出るはずなのに 0 になる場合は、COUNTIFSがうまくいかない原因を確認しましょう。
ステップ5:別の表から値を探す(VLOOKUP)
VLOOKUP は、検索する値をもとに別の表から情報を取り出す関数です。商品名から価格を、社員番号から所属部署を取り出す、といった使い方をします。
練習問題:売上表の横に、小さな価格表を作ります。
| K | L | |
|---|---|---|
| 1 | 商品 | 価格 |
| 2 | ノート | ¥1,250 |
| 3 | ボールペン | ¥400 |
| 4 | 手帳 | ¥1,800 |
=VLOOKUP("手帳",K2:L4,2,FALSE) の結果は ¥1,800 です。2 は範囲 K2:L4 の2列目、FALSE は完全一致で探す指定です。次に "手帳" を D2 に置き換えて下へコピーすると、各売上の商品の価格が表示されます(範囲にはステップ2の $ を付けて $K$2:$L$4 にします)。
#N/A エラーの原因も含めた詳しい手順は、VLOOKUPの使い方をわかりやすく解説にまとめています。Microsoft 365 と Excel 2021 以降では、XLOOKUP を使うと同じ処理を少ない制約で行えます。
ステップ6:データを正しく保つ
数式の結果は、元のデータが正しくなければ意味がありません。入力ミスを防いだり、受け取ったファイルを整えたりするために、次の3つの機能を覚えます。
- ドロップダウンリスト(「データ」タブ →「データの入力規則」):セルに入力できる値を決められた選択肢に限定します。手順はドロップダウンリストの作り方で解説しています。
- 重複の削除(「データ」タブ →「重複の削除」):Excelで重複を削除する方法を参照してください。削除する前に確認したい場合は、条件付き書式で重複に色を付けると見落としを防げます。
- 文字列の整理:取り込んだ列から英数字以外の文字を削除する、括弧を削除する方法があります。
練習問題
- N2:N4 に佐藤、鈴木、高橋と入力します。B2:B9 を選択して「データ」タブ →「データの入力規則」を開き、「入力値の種類」で「リスト」を選び、「元の値」に
=$N$2:$N$4と指定します。B3 に「田中」と入力してみると、Excelが入力を受け付けません。 - 9行目の売上(A9:G9)をコピーし、10行目と11行目に貼り付けます。テーブル内をクリックして「データ」タブ →「重複の削除」を選び、すべての列にチェックを入れたまま実行します。コピーした2件が削除され、売上は8件に戻ります。I3 の合計は E2:E9 だけが対象なので、一度も変わっていません。
ステップ7:グラフとピボットテーブルで集計する
ピボットテーブルを使うと、数百行のデータも数式を書かずに数回のクリックで集計できます。整ったデータを用意できるようになった今が、覚えるのにちょうどよいタイミングです。ピボットテーブルに必要なのは、まさにそうしたデータだからです。
練習問題
- 売上表のどこかをクリックし、「挿入」タブ →「ピボットテーブル」を選びます。「担当者」を「行」に、「金額」を「値」に配置します。佐藤 ¥3,450、鈴木 ¥2,600、高橋 ¥2,500、総計 ¥8,550 になれば正解です。総計がステップ2の合計と一致することが確認になります。
- 集計結果を選択し、「挿入」タブ →「おすすめグラフ」で集合縦棒グラフを選びます。折れ線グラフや円グラフとの使い分けはExcelでグラフを作る方法で解説しています。
ピボットテーブルの佐藤さんの金額は、ステップ4の SUMIF の結果と同じです。同じ数字を2つの方法で確かめる習慣をつけておくと、ミスに気づきやすくなります。日付を月ごとにまとめる、割合で表示する、行を追加したあとに更新するといった操作は、ピボットテーブルの作り方で順に説明しています。
初心者がつまずきやすい間違い
- 合計を手入力する:数式を使わないと、行の値が変わっても合計が更新されません。
- 文字列として保存された数値:Webページや別のソフトから貼り付けたときによく起こります。左揃えになり、SUM の計算から外れます。
- データの表でセルを結合する:並べ替えやフィルターが正しく動かなくなります。
- 1つのシートに複数の表をくっつけて置く:表と表の間には少なくとも1列の空白列を入れるか、表ごとにシートを分けましょう。
- セル参照より先に高度な関数を覚えようとする:ステップ2を飛ばすと、数式をコピーするたびにミスが起こります。
学習プランのあとは:仕事に必要なものから
7つのステップが身についたら、一般的な関数一覧を順に覚えるのではなく、実際の業務で使う関数から学びましょう。
- 年齢、勤続年数、2つの日付の間の期間(人事、総務):DATEDIF 関数
- 重み付きの成績や平均仕入れ単価:加重平均
- 測定値のばらつき:標準偏差
テーマ別のすべての解説は、Excelの基本とExcelの関数・数式のカテゴリにあります。
無料の学習リソースと有料講座
無料で使える公式の情報源は、Microsoft の Excel のヘルプとラーニング(日本語)です。基本操作、数式と関数、ピボットテーブルなどがテーマ別にまとまっています。メニューや関数の正確な説明を確認したいときに、この学習プランと合わせて使うと便利です。
会社が費用を負担してくれる場合や、講師に質問しながら学びたい場合は、有料の講座も選択肢になります。申し込む前に、少なくともこの学習プランのステップ2〜7が練習問題付きで含まれているかを確認しましょう。


